(page3/5)
もう何度目だ。
俺は歯軋りとともに言葉にならない声を呑み込んだ。
興味深げに俺の顔を覗き込む、金髪碧眼のイイ男。
その微妙にニヤついた顔が気に障る。
しかしふざけた装飾をとっぱらえば、こいつの俺に対する態度はいつも”誠実”そのものなのだ。
だから余計に、俺が困る。
「ヒトが祝ってやろうってのにご機嫌ナナメかよ?」
低く転がるような甘い声は俺の為にしか使わないのを知っている。
少し困ったフリで持ち上がった眉頭を、如何にも男らしく無骨な指が掻く。
糞。
俺は意外と器用な、その大きな手が好きだ。
あんたが聞いたら絶対怒るだろうけど、笑うと結構ガキっぽい顔とかさ。
それと、俺のすぐ近くで俺の名前呼ぶとき一瞬間をおくだろ?
アレも実はかなりのお気に入りだったりする。
初めて聞いたときは心臓が飛び跳ねて泡食って、つい「顔に似合わねえ」って笑っちまって謝ったっけ。
でも今じゃ聞こえなかったフリしてもう一回言わせてみたり。
・・・あー!
だからもう。
ほんと気分わりい。
最悪だ。
こんな日が来るなんて予定外もいいとこだっての。
うー。
つまり。
なんて言えばいいんだよ?
次頁へ
前頁へ
一覧に戻る